バンドメンバーを知っているだけで、情報はなにもなし。2日前にセット図をいただき、それを元にプランはしたが、来てみないとわからないことばかり。そういう時は、多めにプランしてカットする方針。さてどんな音楽?そこはどんなものでも対応できる自信はある。そのためにもチューニングだけは整えたい。なのでやはり前日から仕込まないと、アナログ卓は仕込みに時間が取られすぎる。オーバーワークではあるが、結果を出せれば元はとれるので問題なし。わからないのはヴォーカル。声質にあったマイクで、好みのいい音場が作れるかどうかで、その日が決まると言っても過言ではない。ハウって出せない、、と歌い手を我慢させるようだと、共に大きなストレスを抱えることになる。始まってみたら、「民謡」と「演歌」だった。リバーブ感に関してのオーダーがある。確かに演歌はこうだよね、というノウハウはあるものの、なんだか、オンかオフか、になってしまう。声とリバーブが溶けないのである。実は最近の推しマイクのShure NXN8/Cで用意していた。そのマイクの良さであるクリアさがマッチしなかったことに気づく。求めているものが違う。わからないものはSM-58から、というノウハウはあったが、今回はチャレンジだった。が、外れた。途中の休憩を利用してSM-58に変更。見事にハマったという結末。機材には偏見を持たずに情報だけを持つのがいい。ということを改めて実感した。つまりいつでもどこでもいいとは限らないということ。起こる事象をフラットに判断していけば、答えにたどりつく。バスドラムのマイクはここのドラムセットはATM-25にすることが多い。しかしそれはポップスでのこと。Beta52のバスドラムでいい位置に落ち着いた。三味線はピックアップがついているわけではなかったので、迷わずC-414。広い収音と、バチがあたる高音をきれいに拾うにはコンデンサーを使う。モニターが心配にもなるが、チューニングが出来ていれば、返るし聞こえると確信。ダイナミックでは距離が近づけず、音量が稼げず結果ハイミッドがフィードバックしていくことにもなる。外音にもモニターにも良くないことになる。尺八は、SM-58からだったが、息の音がこもって聞こえる。ここが聞こえると演奏もしやすくなるのではという思いで、e-935に変更。これも見事にハマった。前情報はないものの、引き出しを開けば対応できるし、それがハマることは楽しさに通じる。初日を終えて「歌いやすかった。」「演奏しやすかった。」と言ってもらえることで、2日目に窮屈さはなくなる。音響的な微調整のみで、PAという存在が演奏者から忘れ去られれば成功。ホールでやっていた民謡や、歌謡ショーでやっているノウハウと出てくる多彩のサウンドで全体像のバランスを組み立てた。なにせバンドが良くて、アレンジがいいので、仙波さん、久米さんに感謝です。