スピーカーチューニングが肝!ということは角松さんもわかっている。そこさえ出来ていれば、あとのバランスはPC内部でとれる。というコンセプトのライブである。PAスピーカーをスタジオモニターにすることがゴールである。角松さんの感じることはほとんど正しくて、それは自分が感じているものとほぼ一致している。それが出来ていない時には当然その部分を指摘される。もしくは、角松さん自身がそこをクリアする術を持っている。そこをやらせないように、そのままでいい状態を作るのが自分の使命である。しかもツアーなので、積み重なっていく。自分の問題でデータが動いてしまうのだ。ともすれば自分で自分の首を締めることにもなる。特に注意するところは、重低音の出方。元音は、大きスピーカーでなければわからないところが出ていたり、出ていなかったりする。言い方を変えれば、デフォルメされる部分が変われば、その印象が変わってしまうのである。それはその時にPCでコントロール出来てしまう。行ったり来たりさせないためにも、正確なチューニングが必要になる。どうしても時間がとられる。しかし、機材は毎回変わり、スタッフも毎回変わる。当然会場も毎回変わる。PAチーフとしての指示も必要になるが、エンジニアとしての部分を優先させざるを得ない。しかも他セクションのスタッフは百戦錬磨のベテラン達。スタッフとしての振る舞いも大切になるし、音がブレたらすぐにバレてしまうスタッフ達である。過去を振り返っても角松さんの現場は、毎回課題が出され、それをクリアしていくことで自分に力がついていくのが感じられ、とてもありがたい。20代の頃からそうだった。具体的にはハウスの低音の処理、モニターも含めたいわゆる「サウンドする」音環境の構築。適切な音量と音質の提供である。ただそれは今までずっと自分が追い求めてきたものと一致しているので、やってきたノウハウでクリア出来る。極端な話、時間さえあれば構築できる。そこを現地機材やスタッフと共にいかに捻出できるがこのツアーで最優先すべきところである。扱い慣れないコンソールもクリアして、その求めるところに向かう。今の所この綱渡りは成立している。崩壊しないように毎回精進してく所存。