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芝浦605stにて。。すべてのアウト、ダイレクトアウトなどを駆使してイヤモニ、コロガシ、サイドのモニター、資料用の録音すべてを一台でやります。同様の作業はデジタルコンソールでもできますが、一覧出来てそれがすべてというアナログコンソールは、頭の中身の使い方が変わります。各社、各人、便宜性、合理性でデジタル卓をチョイスしていますが、その分、頭にかかる負荷はだいぶ変わってきました。アウトは、写真右手にあるGEQで操作できますが、デジタル卓ではそのすべてがひとつの画面上、同じフェーダーによって行われるので同時作業ということが出来ません。自分のミキシング手法はとにかくこまめに微調整をするので、デジタル卓だと一度決めたらあまり変えないという手法をとらざるを得なくなり、諦めることが多くなります。たとえば本番が始まり音場が変わった時、GEQ操作よりは、楽器のバランスを取る事が優先されますよね。ましてやモニターで全体に4KHzが多いなと感じたとしても、それぞれにアクセスして1dBずつ落とすなどという作業は、かなり時間のかかる作業となりますが、アナログでしたら瞬時に済んでしまいます。スタジオでモニターも録音もという時はヘッドホンですべてのバランスをとることになりますが、そのキューシステムもデジタル卓では様々です。モニターバランスを聞こうとするだけで一工夫が必要だったりします。自分のようにいろいろなところの音を把握しておきたいタイプのエンジニアには多くのストレスがかかります。久々に触るこのスタジオのシステムは楽でした。そして音楽を考えて、ミキシングを考えた微調整が出来ました。操作を考えることに大半の労力を使ってしまう慣れない卓との戦いは、大切なものを失っていると思うのは、努力が足りないだけでしょうか?しかも安価な卓は、パシャパシャしたとても音楽的とは思えない音質しか出てきません。ないものをあるようには出来ないのです。昨今どんな現場に行っても二人で持てるような卓が一枚置いてあって終わりです。後は勝手にやってくださいと。アウトボードやエフェクトが外で操作出来て、モニターソロシステムが統一されていたりするだけで相当頭の中の負荷が変わります。

ミキシングにおいて大切なものを無くしたくないという希望です。