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ヴォイストレーニングのBreavoPara主催の「響舞2016」というイベントがコール田無というホールで行われました。楠瀬清志郎氏率いるこの催しに関わってもう7年になります。ロールバックの客席は収納され、客席もほぼステージという作りになっています。全体を6個のスピーカーで囲むプランにしました。いわゆるダンスフロアーの作りです。ただし主役は50人近くの朗読と歌、そしてダンスです。さあ、どうしましょうか。見た感じどうでしょう、この感じなら声は生で届くとの判断はつきます。まずはオケの音を均一にすることに大半の時間を使いました。オケの聞こえ方でパフォーマンスが変わりますから。そして生声とオケとのバランスをとります。マイクを使わないということはオケの最大音量は生声に合わせた感じとなります。ここまではPAではありがちな「オケ出し」ということでした。しかし、それだけでいいのだろうかと。。小さくて見えにくいですが、置きのマイク、バトンに吊ったマイクなど、全部で12本のマイクを用意しました。録音用だったのですが、いくつかをスピーカーから出してみます。これは普通やりません。PAはマイクで拾った音をスピーカーから出す作業ですが、場所によってはスピーカーよりマイクの方が遠いのです。これはありえません。さて何が起きたかというと、当然リアルな声はスピーカーからは聞こえませんが、しゃべった声の「響き」が変わるのです。スピーカーが客席に向いている時は、その響きを感じながらの調整をしますが、スピーカーもこちらを向いています。この距離ですから、マイクが生きていたことなど、お客さんも演者もだれも知らないでしょう。ただその響きをコントロール出来たのです。自分がしゃべった感じでは、なくすと少し息がつまるような感じで、生かすと伸びやかになりました。この「響き」を演者に提供できるかもしれないとワクワクしました。客が入ってその響きがどうなったかは、きっと誰にもわかりません。自分にもわかりません。ただこうやって音を溶け込ませられれば、それが一体感になります。感情の一体感を作るサポートが出来たとしたら、スタッフ冥利につきます。