和尚と坊主って面白いと思いましたが、、それじゃ主従関係がおかしな事になるので、あえて横文字にしてみました。

Bose社のgeneral manager持丸氏と話をする事が出来ました。氏の自身作であるShowMatchというスピーカーシステムの試聴会の時の事。音楽や音響に対して同じような考え方を持っている人がいるんだなと共感しました。自分はただその考え方で音響をオペレートしているだけだが、持丸氏は、実際に製品を作り上げることをしているのだから、同じ土俵で語ってはいけないとは思いますが、嬉しいことです。L1という製品のコンセプトが生の楽器の音を大きくすることで、他の楽器とのバランスをとるということ。つまりスピーカーを背負うという発想です。この発想を音響、特にポップスの分野ではしてこなかったと思います。立ち位置より前にスピーカーを出さないとハウリングを起こすというのが常識になっていました。自分が追求してきたのはスピーカー位置を物理的に下げることで生の楽器の音と融合するということ。客席向けの音とステージ中の音は別ではなく、全部を同じ音にするということです。とはいえ、実際音量を高めていけば、ハウリングは起こします。しかしあらゆる位置にあるスピーカーも調整次第で整合をとることはできます。そこにかける時間を惜しんではいけません。整合をとることでそれぞれの音量は下がるのです。下がっても音圧を感じる事が出来るのです。ここまでは自分の音響論でしたが、この話を持丸氏は理解していただけたようでした。

ShowMatchは特殊なスピーカーという訳ではなく、普通にラインアレイのスピーカーですが、その音質と空間をカバーする発想が、自分の音響論にマッチすると感じました。自分がスピーカーチューニングをしていった最終型の音が最初から作られている感じでした。そしてそれはある種旧き良きの2waySPの香りがするわけです。持丸氏がかつて「アルテック」の製品開発に携わっていたという話を聞き、その方向性が理解出来ました。しかもその音質を物理的に何種類かの形状の用意で全ホールをカバーできるようにしてあり、プロセッサを使っていないことに好感を持ちました。大規模から中小の現場までが同じアプローチでこなせるのです。大規模なホールやアリーナでは、ピンクノイズを使いプロセッサーを調整していくというアプローチをします。しかし中小の現場にはそのような時間など、どこにもとられていないのが現状です。この製品なら、組み合わせを考えて持っていけば、それ以上の微調整がありません。シンプルです。まだ新製品ですから、これからの試行錯誤もあるのかと思いますが、登る山が同じだということはとても大切なことです。

 

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