改めて、自分の音響の基本がどこにあるのだろうかという事を見つめ直してみました。それは、1系統の音響環境です。それは後で説明します。その場にあった音響の環境というのは、必然の音量と必然のバランスがあるということです。必然というのは、必要なことで、それは伝えたいこと、伝えたい人の思いを正確に伝えることです。そして伝える範囲に対して「優しさ」を持つこと。うるさくないか、聞き取りにくくないか、歌いにくくないか、演奏しにくくないか、それは歯車が狂うとうまくいきません。その理想に近づけたい思いと共にいますが、うまくいかないことも多々あります。過去の歴史を振り返ると、思い出したくないこともいっぱいあります。そんな経験と共に今出来る自分のノウハウを伝えていきたいと思いました。
「1系統の音響環境」それはどこでも同じようにすること。特にステージで歌う環境と客が聞く環境。具体的には、ハウスSPとインフィルからサイドSPのつながり。そしてFootモニターとサイドSPのつながり。その他ステージ内にあるモニターSP同士のいい関係作り、その外音に対する影響、ハウスSPの中音に対する影響です。この調整が整った時は、音響に対する問題が少なくて済みます。これは経験上、間違いありません。ここ数年はただそれだけをやっていますので、だいぶ精度も上がってきました。それは、畑にとっての土、絵にとってのキャンバス、家にとっての土地のようなものです。後から載せるものがスムーズになります。音楽で言えば、楽器の種類の違い、マイクの種類の違いがそのまま分かる状態を作るということです。そこから始めるミキシングは楽しいものになりますが、そのフィールドが出来ていないと、「なんとかする」PAになってしまいます。そしてそれを「なにかのせい」にせざるを得なくなるのです。
この理想は、PAを始めた当初からありました。それこそ40年近く前です。最初に衝撃を受けたライブ。そして実際にステージでミキシングを始めた頃、そしてハウスミキシングを始めた時、そしてその両方に対しての試行錯誤の日々。そこには師匠が存在し、多くを学びながら歩んできました。
そしてもっと根源の音を扱う「人として」の部分。それはもっとも苦労したことです。自分の長所、短所、ものや人に対する捉え方。それこそ音響を追求する以前のもっと土台のことだと気付き、そこにも恩人が存在します。
このような経験を伝えていくことの必要性を感じるに至り、というよりは、伝えてもいいという「許し」を得て、現在があると思っています。
ここ数年外向けの発信はtwitterの140文字程度に限定していましたが、改めてブログにての発信を始めようと思いました。多忙を理由にしないように続けていこうと思っていますので、どうかご一読していただけると幸いです。