ビッグバンドを含めると4回目になる。トロンボーン村田陽一さんからのオファーがあり、何度かやっている。管楽器の面白さ、難しさを毎回体感する。それぞれの音色が再現されているかどうか。多少違ったとしても、それが吹きやすい状態にあるかが最も重要なところ、Saxの竹野さんは、M-88TGを持ち込んた。自分も持っているしよく知っているマイクではあって、それに対して音色を作ることになる。まずはスピーカーチューニングに対してチェックが入る。改めて思う、「フラットってなんだろう?」自分基準のフラットは、長年やってきて、多くの演奏者達からOKをもらっていったものから構築されていたことを知る。自分のマイク、測定器などを駆使してそれを再現したりするのだが、最後は自分の耳と感覚になってしまう。それが人とずれることは当然ある。各周波数に長所、短所があって、短所を避けるために長所を犠牲にすることもある。簡単に言うと、それぞれのスピーカーから出ているLowが、飽和することである。そこを避けるために、それぞれのフラットを多少犠牲にして、全体の音を整えるということをしている。外音との兼ね合いをとるのもどちらに音を持っていくかのチョイスで、低音に関しては客席を優先することもある。電気楽器を扱うことと大きく違うのは、モニタースピーカーの音が自分の音となることである。電気楽器は自分の音は自分で作っていて、他の人の音を聞くことも重要な要素となっている。そして、過去の経験を覚えていることもそれを邪魔することがある。やはり管楽器でローが少ないと言われたことが何度かある。つまり、外音にローを預けてしまっている。それでは近くにローがないので、吹くことに力が入ってしまい、楽に吹けなくなる。いい塩梅をつくること、それをリハーサルから本番まで継続すること、そうなれれば、自分は存在を消せて、いいPAになる。SolidBrassは、Tubaの佐藤さんがベースになり、ドラムは渡嘉敷さん、バリトンの山本拓夫さん。トランペットは管坂さんと西村さん。そして大昔からの付き合いがあるサックスの小池修さん。僕が日本一好きなサックスプレーヤーである。今回はめずらしくアルトを吹いていたが、自分が若い頃、なぜ小池さんの音が好きだったのかわかった気がした。それほど管楽器の知識などない頃だったが、ただカッコいいだけではなくて、なんか深くて、安定感があって、スリリングにもなる。そして、なんだかわからないが、ホッとさせる何かがある、と勝手に感じている。今日もそんな演奏が聞けて嬉しかった。本番最初は、トランペットがグッと上がり、バランスを整えた。生配信、それもアーカイブあり、はごまかしが効かないことは痛感している。ホーンのバランスはやはり難しい。まずは聞き分けること、そしてバランスを取ること、そして音楽としての「カタマリ」にすること。バランスがとれていてもかたまらないこともあれば、バランスが定まらないこともある。トータルコンプで逃げてはいけないことは知っている。それはソロとかが出せなくなるだけでなく、ダイナミクスを失う。過度なEQも同様なので、いつものようにEQはフラット。ハウスだけにそれぞれ軽くコンプをかけて対応する。プレイヤーは超一流な人達。任務遂行は果たしたと思う。