昨年に引き続き、玉川上水にあるロバハウスという民家での公演。内容は童話劇なのですが、それを演じるのは役者だけではなく、舞踏家、ソプラノ歌手、フリーアナウンサーによる朗読、ピアノと笙、今回からは、能楽の語り、鼓、篠笛、が加わる。自分は?朗読のPAにマイクを使い、BoseL1Compactを後ろに置き、直接つなぐだけ。マイクは今まではBeta57aを使っていたが、今回はe945にしてみた。ベストだったかどうかはわからないが、吹かれは少なかった。なによりもより生に近く、マージンがとれて、ミキサーを使わないという設定。ゲネプロと最終日に立ち会ったが、最初に音量を決めて、Lowを少しけずり、やったことはそれだけ。L1Compactだとちょうど頭の上にスピーカーが来るので、ハウリングが起きにくいのと、何よりスピーカーだとわからないルックスだ。そしてワイドな指向性を持っているので、客にも演奏者にも届く。セッティングは5分くらい。まだ2回目だが、何故だか信頼されていて、感謝されている。それは機材を使うだけの音響ではなく、耳を使う音響ということ。全体のバランスを聞いていて、場合によってはアイディアも出せる。ただ何も言う必要はなく、もはや出来ていた。会場の音がいいことと、演者や演奏者が素晴らしく、バランスがとれている。前回はピアノの位置を少し動かしたりしたが、今回は何もなし。本もいいし、それを解釈している演者の出す音は他と調和している。ひとつの道を極めていると皆同じところに行き着く。そして本番はすごかった。その場所から聞こえてくる音、それは360°のまさにRealitySoundだった。映画館やスタジオなどではその3Dサウンド技術があるが、それがミキサーやスピーカーなしで出来ているのは驚きと喜びだった。L1の音もほとんどスピーカーを感じさせないようなマイクとの距離感を作っていたし、楽器演奏の強弱も、演者の声も、ちょうどいい音量感を保っている。これはおそらく無意識に自分の気持ちのいいところの音を出しているだけなのかもしれないが、何十年ものキャリアのプロがやるとこうなるのだ。自分も一つのスピーカーで仲間入りさせてもらい光栄でした。それにしても、このアレンジを考えたこともすごい。岡佐和香さんの情熱に脱帽です。