自分は3回目になるが、毎年同じ場所でやっているライブ。デジピと歌だけなので、技術的には簡単だが、音作りはマイク一本でもトラブることはあるので、事前の準備もリハも本番もいつもと変わらない。昨年のアウトデータをLakeに残しておいていただいていたので、そのまま音を出してみた。「出来てる!」これが第一印象。逆に言うと、ここからのコントロールは慎重にすべき。何もしないのではなく、しすぎないようにする。基本のチェック、サブの回り込み、ロー、ミッド、ハイを確認、両端、2階、最前列、ステージ、一通りのいつもルーティーンでチェック。そしてモニターは、今回から卓返しなので、過去のデータはなく新たに作る。S6Lで、リモートはなかったが、ホールの堀さんは、好意的、献身的にずっと手伝ってくれた。助かります。S6Lは今や標準となりつつある機器なのだが、久しぶりに扱うので戸惑うことが多く、プチミスが続く。。ボーカルのリバーブを設定していたのを、ピアノにかけるための短いリバーブタイムに変更してしまい、ボーカルリバーブがきれいにかからない。またなぜか、AUXのキューがヘッドホンにアウトされていない。ステージと何度も往復しながらの調整となった。これは堀さんも解明に時間がかかったモニターアウトがヘッドホンジャックによって変わるという機能。確かに便利かもしれないが、知らないとわからない、まさにデジ卓の罠だった。苑子さんのモニター環境については、マイクのチョイスも含め、数々の変遷を経ている。つまり歴史があるし、理解しているつもり。前々回はKSM-8,前回はBeta58だったが、今回RE-520にした。有線でバンドではなく、イヤモニではない。合うかどうかはやってみないとわからなかったが、予想では大丈夫な範囲には入り、外音は確実に良くなるという確信はあった。モニターは少し大きめからスタートしたので、触るように歌うAメロがもぐることはなかったはず。ただ包み込む感じを作るために音量を下げ、リバーブを使って対応した。終わってから「OK!」とは言われたが、本番の吸われ具合いは微妙だったかもと言う気がしたので、リバーブなどの微調整はした。サビの張った時の音色も滑らかになるはずで、本番はそのように出来たと思う。ピアノのCP-88の音色は、おそらく現存するデジピでは一番だろうなと思うので、何もする必要はなかった。素の井上苑子がそのまま見られるいいライブだったと思う。やっぱりデジタルとかテクニカルではなく、ヒューマンがリアルに見えてくるものに勝るものはないんじゃないかと思わせる。照明もすごく良かった。ホールにも感謝です。