だいぶ前にもコラムに書いたことがありますが、「空調エンジニア」というのが成り立つ社会になったら随分と素晴らしいことだと思います。気温、湿度を管理して、いかに心地よい環境を作るかということなので、そのゴールは音響エンジニアと似たようなものです。たとえば、コンサートツアースタッフに空調エンジニアがいたとすると、歌い手の楽屋やホテルの部屋は最適な温度湿度に調整されます。本番前後のステージ温度を変化なくできれば、ピアノやギターのチューニングの狂いも少なくなりそうだし、音響にも影響します。仕込みバラシは、冷やしてくれればスタッフは助かります。喫煙に対するケアも含めの仕事だとすると、だいぶストレスが減ります。そしてなにより、客席の空調が一定になれば、心地よい環境のコンサートになるわけです。現状はまだまだホールの設備での均一の調整で、催しにより微調整するようなものではありません。街中にそんなエンジニアがあたりまえにいるようになったらなんと素晴らしいことでしょう。